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医療法人ラザロ会 江口クリニック

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院長コラム

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家庭での血圧測定「降圧剤を服用しているし別に症状がないから血圧を測らなくっても大丈夫」?

降圧剤を服用されている方に、家での血圧をたずねると、「別に、めまいもふらつきもないので、測っていません」とよく言われます。降圧剤は飲むことに意義があるのではなく、目標とする血圧の値を維持することに意義があるのです。もし、血圧が高いせいでめまいやふらつきが出ているのならば、その血圧の値はかなりの高値であり、そんな状態であれば申し訳ありませんが、脳卒中や心筋梗塞の合併症は目前、そう先のことではありません。 長い目で見て、合併症予防のために目標としているのはあくまで至当な血圧の数値であり、そのレベルでは、まず、血圧が高いことによる症状などありません。ですから、診察に来た時に、月に一回ぐらい測っているだけでは不十分なのです。毎日でなくてもかまいませんが、家でも血圧を測ってみられることです。

また、血圧の測定はできれば、朝と夕の2回程度は測られるほうがいいでしょう。人によっては、朝のほうが高い人、夕のほうが高い人、酒を飲むと極端に血圧が下がる人、休みの日には血圧が下がる人、また、日曜日の夜(休日明けの仕事に行く前)に血圧が上がる人など様々であり、それによって服用のしかたを変えたりすることもあります。また、診察室での血圧の方が高い人が一般的ですが、家での血圧の方が高い方もおられます。

家で血圧を測られるなら、是非、手首で測るものではなく、上腕(肘の上)で測る機械をご用意ください。高血圧学会でも、指標とするのは上腕式の機械としています。2回測って平均を記録するというのが推奨されています。

腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊椎管狭窄症

腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊椎管狭窄症は、腰・下肢痛みをきたす代表選手でしょう。椎間板ヘルニアは、一般的に知名度が高いようで、ほとんど坐骨神経と同一のように誤解を受けているように見受けられますが、必ずしも坐骨神経痛が出るとは限りません(部位によって異なります)。どちらも、腰椎部分で神経が圧迫・絞扼されて、腰や脚が痛んだり痺れたりする病気です。

かなり大雑把に言ってしまえば(例外は多々ありますが)、比較的急性に、片側の下肢痛で、腰を前屈させるとその下肢痛が増悪するならヘルニア型が疑わしいし、逆に、両側性で腰を前屈させていると楽になり、腰をそらすような姿勢で下肢痛が悪化するならば、狭窄症型が疑わしいとしていいでしょう。

しかし、特に、年配の方ですと、腰椎のMRIを撮影すると、たいていの場合ヘルニアもあり、狭窄症もありといった所見で必ずしもクリアカットに決めつけることができない例が多々あります。

痛み止めは飲まなければならないのか?

基本的には、飲まなければいけないという薬はありません。痛みには大雑把に言って2種類あります。一つは、打撲などのけがなど急性の炎症を伴っている場合と慢性的に持続している痛みの場合です。急性の炎症とは、局所が、赤くなっていて、熱く、脹れているような場合です。この場合には、炎症起因物質というものが遊離されます。これらは、さらに炎症を増悪させる作用があり悪循環モードに陥りますので、急性期で痛みがつよく発赤腫脹がある場合には、いわゆる「痛み止め」とよばれる消炎鎮痛剤を服用されたほうが早く治るので有利かなと思います。一方、慢性に続く痛みの場合、一部には、リウマチや変形性関節症のように繰り返し炎症が惹起されている場合を除いては、ダラダラと消炎鎮痛剤を服用する必要はないと思います。

メタボリックシンドロームについて

特定検診(メタボ)検診も大分定着してきたようです。それでも多くの受診者の皆さまは、あまり、メタボのことを御理解していただいていないようなので、簡単に書いておきます。メタボというのは、単に肥満で血圧や血糖が上がったりしているのではありません。別名「内臓脂肪症候群」とよばれているとおり、内臓脂肪の蓄積が様々な悪影響を及ぼしている病態です。この際、皮下脂肪は悪者ではありません。あくまで内臓脂肪が問題となります。内臓脂肪がお臍のレベルでのCTスキャンで100cm2を超えると様々な悪影響がでてくるとされています。メタボ検診ではCTはとれませんので腹囲を測定します。したがって、体重は正常であっても、腹囲が大きければ(男性≧85cm、女性≧90cm)引っかかってしまいます。おなかだけがポッコリでているような体形はリンゴ型肥満(男性型肥満)といわれます。

さて、同じ脂肪でも皮下脂肪ではみられないのですが、おなかの中に溜まりますと、様々な物質を分泌します。これはアデポサイトカインとよばれ、TNFαのように血糖を上げるもの、遊離脂肪酸のように高脂血症をきたすもの、アンギオテンシノーゲンのように血圧を上げるもの、PAIのように血管の中で血液が固まってしまいやすくなるもの、また、その一方でアデポネクチンと呼ばれる善玉のサイトカインの分泌は減ってしまいます。これらが総合して、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を高確率に引き起こすこととなります。

一昔前まで、脂肪組織は、単なる余分なエネルギーの貯蔵庫と考えられていましたが、今では、こういうサイトカインを分泌する内分泌器官と考えられるようになりました。

腰椎の圧迫骨折1・・・必ずレントゲンに写る?

ある程度の年齢の方が、尻もちをつくなどの軽い外傷(時には全く外傷らしいエピソードのない場合もある)の後、結構ひどい腰痛が出た場合の話です。すぐに、救急で病院を受診される方も多いです。そして、そこで骨には異常がありませんと言われ安静にしていたが一週間たっても少しも良くならないといって受診される。そこでもう一度レントゲンを撮ってみると腰椎や胸椎といった背骨に圧迫骨折が見られる例を数多く経験します。多くの場合、発症後1~2週間もたてばはっきりしてくるのですが、時には、1~2か月もたたないと明らかにならない例もあります。なかには、MRIを撮影してようやく診断されることもあります。確かに、注意深く見ると、椎体の圧迫骨折の場合には、背中の中心線上に並ぶ棘突起という骨の出っ張りを叩くと痛みが出てわかることも多いのですが、はっきりしない場合もあります。

脚立から落ちたとかである程度の外傷であれば、多くの場合すぐにレントゲン検査で骨折が明らかになることが多いのですが、ある程度の年齢の方で骨粗鬆症を基礎として、前述のような軽微な外傷で生じる圧迫骨折の場合は、発症直後のレントゲンだけでは診断できないことが多いので、1週間も強い腰痛が続くようならレントゲンの再検査やMRIをとられるほうがいいでしょう。