「血圧の薬を飲み始めたら死ぬまで飲み続けなければならなくなる」?
血圧が高いと言いますと、表題のような御質問をよく受けます。いかがでしょうか?
まず、血圧の薬を飲む目的は、血圧を下げることです。これは言うまでもないでしょう。
何故、血圧を下げなければならないのでしょうか?血圧が高いと頭痛やめまいがするからでしょうか?それは、全く違います(血圧が高くて症状が出ているような状態は論外です。そんな状態では、もう長くはないと考えてください)。血圧を下げる目的は、血圧が高い状態が続くと、血管の壁が厚くなり血液の通るスペースが狭くなったり詰まってしまったりするからです。頭の血管が詰まれば脳梗塞・心臓の血管(冠動脈)が詰まれば心筋梗塞(狭心症)ということになります。これらの病気は発症してしまうと、即、生命を落としたり、かなり高度な生活機能の障害をきたします。
こういう合併症を避けるために血圧を一定のレベルまで下げるわけです。ですから、降圧剤の服用を始めたら、規則的に飲み続けて適切な血圧値を維持することが必要です。症状の有無はありません。本態性高血圧と呼ばれる、家系的に血圧が高い人の場合は、一生飲み続けなければならないかもしれません。しかし、ストレス過多や肥満や運動不足、塩分の取りすぎなど生活習慣に問題がある場合には、そういう原因が改善されると、勝手に血圧が下がってくる方も多くおられます。この場合、徐々に薬の強さを減らしていき、最終的には中止できることも多々あります。
また、降圧剤を飲むと「クセになってやめられなくなる」ということは、一切ありません。むしろ、降圧剤を服用しないで、いると身体なかの血管の壁は、単なるゴムホースではなく生きている組織ですから、血管へ癖が炎症を起こしてどんどん固く厚くなってしまうので、動脈硬化は進行し、より血圧は上がっていくことになります。