中河内のホームドクター

詳しいアクセスはこちら

医療法人ラザロ会 江口クリニック

TEL.072-950-5580

大阪府羽曳野市栄町4-10

生活習慣病

カテゴリー一覧

「血圧の薬を飲み始めたら死ぬまで飲み続けなければならなくなる」?

血圧が高いと言いますと、表題のような御質問をよく受けます。いかがでしょうか?

まず、血圧の薬を飲む目的は、血圧を下げることです。これは言うまでもないでしょう。

何故、血圧を下げなければならないのでしょうか?血圧が高いと頭痛やめまいがするからでしょうか?それは、全く違います(血圧が高くて症状が出ているような状態は論外です。そんな状態では、もう長くはないと考えてください)。血圧を下げる目的は、血圧が高い状態が続くと、血管の壁が厚くなり血液の通るスペースが狭くなったり詰まってしまったりするからです。頭の血管が詰まれば脳梗塞・心臓の血管(冠動脈)が詰まれば心筋梗塞(狭心症)ということになります。これらの病気は発症してしまうと、即、生命を落としたり、かなり高度な生活機能の障害をきたします。

こういう合併症を避けるために血圧を一定のレベルまで下げるわけです。ですから、降圧剤の服用を始めたら、規則的に飲み続けて適切な血圧値を維持することが必要です。症状の有無はありません。本態性高血圧と呼ばれる、家系的に血圧が高い人の場合は、一生飲み続けなければならないかもしれません。しかし、ストレス過多や肥満や運動不足、塩分の取りすぎなど生活習慣に問題がある場合には、そういう原因が改善されると、勝手に血圧が下がってくる方も多くおられます。この場合、徐々に薬の強さを減らしていき、最終的には中止できることも多々あります。

また、降圧剤を飲むと「クセになってやめられなくなる」ということは、一切ありません。むしろ、降圧剤を服用しないで、いると身体なかの血管の壁は、単なるゴムホースではなく生きている組織ですから、血管へ癖が炎症を起こしてどんどん固く厚くなってしまうので、動脈硬化は進行し、より血圧は上がっていくことになります。

家庭での血圧測定「降圧剤を服用しているし別に症状がないから血圧を測らなくっても大丈夫」?

降圧剤を服用されている方に、家での血圧をたずねると、「別に、めまいもふらつきもないので、測っていません」とよく言われます。降圧剤は飲むことに意義があるのではなく、目標とする血圧の値を維持することに意義があるのです。もし、血圧が高いせいでめまいやふらつきが出ているのならば、その血圧の値はかなりの高値であり、そんな状態であれば申し訳ありませんが、脳卒中や心筋梗塞の合併症は目前、そう先のことではありません。 長い目で見て、合併症予防のために目標としているのはあくまで至当な血圧の数値であり、そのレベルでは、まず、血圧が高いことによる症状などありません。ですから、診察に来た時に、月に一回ぐらい測っているだけでは不十分なのです。毎日でなくてもかまいませんが、家でも血圧を測ってみられることです。

また、血圧の測定はできれば、朝と夕の2回程度は測られるほうがいいでしょう。人によっては、朝のほうが高い人、夕のほうが高い人、酒を飲むと極端に血圧が下がる人、休みの日には血圧が下がる人、また、日曜日の夜(休日明けの仕事に行く前)に血圧が上がる人など様々であり、それによって服用のしかたを変えたりすることもあります。また、診察室での血圧の方が高い人が一般的ですが、家での血圧の方が高い方もおられます。

家で血圧を測られるなら、是非、手首で測るものではなく、上腕(肘の上)で測る機械をご用意ください。高血圧学会でも、指標とするのは上腕式の機械としています。2回測って平均を記録するというのが推奨されています。

メタボリックシンドロームについて

特定検診(メタボ)検診も大分定着してきたようです。それでも多くの受診者の皆さまは、あまり、メタボのことを御理解していただいていないようなので、簡単に書いておきます。メタボというのは、単に肥満で血圧や血糖が上がったりしているのではありません。別名「内臓脂肪症候群」とよばれているとおり、内臓脂肪の蓄積が様々な悪影響を及ぼしている病態です。この際、皮下脂肪は悪者ではありません。あくまで内臓脂肪が問題となります。内臓脂肪がお臍のレベルでのCTスキャンで100cm2を超えると様々な悪影響がでてくるとされています。メタボ検診ではCTはとれませんので腹囲を測定します。したがって、体重は正常であっても、腹囲が大きければ(男性≧85cm、女性≧90cm)引っかかってしまいます。おなかだけがポッコリでているような体形はリンゴ型肥満(男性型肥満)といわれます。

さて、同じ脂肪でも皮下脂肪ではみられないのですが、おなかの中に溜まりますと、様々な物質を分泌します。これはアデポサイトカインとよばれ、TNFαのように血糖を上げるもの、遊離脂肪酸のように高脂血症をきたすもの、アンギオテンシノーゲンのように血圧を上げるもの、PAIのように血管の中で血液が固まってしまいやすくなるもの、また、その一方でアデポネクチンと呼ばれる善玉のサイトカインの分泌は減ってしまいます。これらが総合して、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を高確率に引き起こすこととなります。

一昔前まで、脂肪組織は、単なる余分なエネルギーの貯蔵庫と考えられていましたが、今では、こういうサイトカインを分泌する内分泌器官と考えられるようになりました。

急性糖尿病―ペットボトル症候群

夏の暑い時期、咽喉が乾くので水分をとる。それは、たいへん良いのですが、この水分を缶コーヒーやジュース等、甘みすなわち糖分を含む飲み物でとった場合は要注意です。糖尿病予備軍の方、あるいは少し年齢を召された方では、急に血糖があがってしまって、糖尿病になってしまうことがあります。これは、ペットボトル症候群と名前が付けられているほど有名な(=よく遭遇する)病態です。ご高齢の方には、結構見受けられるのでご注意ください。

高血圧と認知症

高血圧が、アルツハイマー型認知症の危険因子の一つであることはよく知られた事実です。といっても、高々、1.5倍程度の危険率比にすぎませんが。頭の中の血管は、高血圧に弱く、高血圧が続けば頭の中の血管の動脈硬化によって隠れ脳梗塞が増えていって、当然、脳の働きが低下するので、それが加算されて認知機能も悪化するのは当り前ではないか!と言われるかもしれません。ただ、そういった単純なメカニズムにくわえて、記憶をつかさどる海馬のCA1セクターという領域が、他の神経細胞にくらべて特に虚血に弱いこと。さらに、最近の基礎研究では、脳虚血によって生じる物質がBACEを増加させAβ(アルツハイマー病の起因物質)を増加させること、また、Aβ自体が脳血管の自動調節能を障害するという独自のメカニズムも知られるようになってきたのです。ただ、もはや高齢になった段階で、過度に血圧を下げてしまうのはむしろ認知症を悪化させるので要注意です。あくまで降圧は中年期の若いうちからやっておかねばなりません。

また、最近、血圧を下げる薬(降圧剤)の種類によって認知症の進行に差が出る可能性があるのではないかという基礎研究の報告もあります。たとえば、ACE阻害剤という種類の降圧剤では、ACEがAβを分解する作用まで阻害され、結果的にはAβを増加させること、また、神経に保護的に働く作用のあるAT2という受容体も阻害してしまうので認知症を悪化させる可能性があるという報告が出てきています。まあ、実際の臨床の場で降圧剤を変えたところで認知機能に明確な差が出るという気は全くしませんが、毛の先ほどでも有利になるなら・・・、という気で降圧剤の選択をしています。