漢方薬について・・・効くまで時間がかかる? 効果が緩い? 副作用がない?
答えは、ノーです。小生は、結構、漢方薬を使うほうだと思っていますが、小生のような外科系で気の短い者が、効果が出るまで二年も三年もかかるような薬を使うわけがありません。効くから使うのです。もちろん、いくつか使い方がありますので、効果が緩いが副作用の軽さを期待して使う場合もありますが、すべてがそうではありませんが、極めて即効性で、効果の強いものもあります。
即効性強力の代表は、芍薬甘草湯でしょう、こむら返りの薬としてかなり有名になっています。葛根湯は、風邪のひき始め、ぞくっと寒気が来た段階で、服用すればよく効きます。抑肝散は、NHKで取り上げられてから認知度が急激にupしましたが、確かに、妄想や認知症の問題行動に一定の効果があります(ただし、効果が強くはない、そのかわり副作用が少ない)。一般に、便秘や腸を動かす漢方薬は、効果が強いようです。大建中湯等、多くの消化器外科で、麻痺性イレウス対策に用いられています。下剤である桃核承気桃などは合う人だと、一日に2~3回トイレに行くのだけれども非常にすっきりして気分がいい、イライラしなくなったといわれる方もあります(便秘以外に対する効果も期待して使っているわけです)。いずれも、即効強力型です。
一方、通常の薬が副作用で飲みづらい人に、体調の改善を待つ間に副作用の少なさを期待して使う場合もあります。半夏厚朴湯、六君子湯、香蘇散などでしょうか。
一般に冷えは体が冷えると悪化しますので、冷えて痛むという訴えが強い人の場合には、体を温める作用のある漢方を加える場合もあります。生理に伴う頭痛に、当帰芍薬散が非常に効果を発揮することもあります。
上述のように、ある症状に対して処方する場合もあれば、非常に訴えの数が多い人、これといった強い症状がないが、なんとなく体調がすぐれないような場合や、子供さんなどには、症状にかかわらず「証」によって処方する場合もあります。「証」というのは、漢方薬を処方するための漢方独特の身体所見で、「舌」や「腹」、「脈」などの特徴で判断します。したがって、「証」が一致すれば、症状が何であっても効くということです。こういう薬の場合、「何に効くんですか?」と尋ねられますが、「あなたの身体の不調全体の調節に効く」というより答えようがありません。
さて、効くのですから、当然、副作用もあります。漢方薬だから副作用がないというのは全く誤解であります。即効強力型の代表選手、芍薬甘草湯は、例えば一日3袋を、続けて飲めば、かなり効率にむくみをきたす方が多いようです。一日1袋ではまず問題はありません。地黄系の漢方薬(牛車腎気丸、八味地黄丸等)の消化器症状の副作用は有名です。