変形性膝関節症って?
実年以降では非常によくある病気で、国内では1000万人以上と推計されています。膝関節の軟骨がすり減った状態です。多くは、体重過多と加齢が主因のようですが、若い頃の外傷や脊髄や脳の損傷で半身筋力低下が原因となることもあります。立ちあがる時や階段昇降などに膝の痛みを生じ、進んでくると普通に歩く時にも痛むようになります。生活が非常に不便になれば手術が必要になります。たとえば、体重が増え、コレステロールや血糖が上昇し、医者から歩けと言われ、急にはりきってウォーキングを始めたりしたときなどによく発症します。
保存的治療・進行防止としては、
- 減量:なんといっても体重を落とすことでしょう。たまたま、他の病気で、不幸にして体重が減ってしまったりすると、気が付くと膝痛がましになっているというのはよくある話です。
- 下肢筋力強化:太腿周囲の筋力をつけることはとても大切です。早合点して、いきなりランニングしたり、スクワットなどやったりすると、かえって悪化します。膝に荷重(体重)をかけないようにしトレーニングしなければなりません。かなり体重の多いご高齢の方々では、プールでの歩行などは効果があるようです。当院では、リハビリ室に、四頭筋訓練装置をおいて頑張っていただいています。筋力が数値で示されるので、本人の意欲が高まって効果があるようです。
- 高分子ヒアルロン酸注入:変形性膝関節症では関節内のヒアルロン酸が減少していますので、これを補充することで軟骨を保護し、進行を抑える効果があります。また、関節の炎症を抑える効果もあるようで、比較的効果の出るのが早い治療です。急性期は週1回、慢性期には2~4週間に一度程度で維持します。約8割の方に効果があります。
- 装具治療:変形が比較的軽度で、立ち仕事やウォーキングといった立ち動作が多い方で、O脚気味の方には足底につける装具(靴の中敷きタイプもある)をお薦めしています。膝関節への荷重のかかり方を変えることが目的です。また、かなり進行した方で、年齢や合併症によって手術に危険を伴うような方には、膝装具を処方しています。