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運動器(筋・関節・骨疾患)

手根管症候群と肘管症候群

 手根管症候群と肘管症候群は、日常の診察の中でよくお目にかかる病気です。手根管症候群は、手掌の手首に近いところにある手根管という正中神経の通り道が狭くなって手の親指側に痛みや痺れ、親指の運動障害を生じる病気です。 一方、肘管症候群は、肘の部分で主に手の小指側に分布する尺骨神経の通り道が狭くなって小指側が痺れたり痛んだり、ひどくなると小指側の指が伸びなくなったり手背の筋肉が痩せてきます。
 手根管症候群は、中年以降の女性に多く見られます。教科書的には夜間疼痛で目が覚めるとされていますが、経験的には日中の手の痺れ痛みで来られるほうが普通のように思います。痺れの部位と神経伝達速度を測定し(診察室で簡単にできます→院内紹介検査機械)で遅延を認めれば確実です。 治療は、内服、手根管への炎症止めの注射、手関節の動きを制限する装具(寝ている間つけるだけでも効果がある)、と手術です。痛みが許容範囲ならどんなに悪くなっても物がつまめない程度の症状ですし、比較的、治療によく反応するので、実際に手術に至るケースはそれほど多くはありません。
 肘管症候群の方は、やはり痺れ痛みの部位と、神経伝達速度の遅延で診断され、治療も同じようなものになりますが、こちらの方が、治療への反応が悪いようです。肘のところでの狭窄が厳しいのか、あるいは、肘に関しては手関節のような装具固定ができませんので安静が取れないことが原因だと考えています。この病気の場合、肘を伸ばすと新駅の圧迫がゆるみ、伸ばすと圧迫が強くなるのですが。肘を伸ばしたままにしておくのは、日常生活で大変不便ですのでそういう形での固定ができないのです。また、手根管症候群と異なり、ひどくなると手指の運動障害や変形が強く大変不便になりますので、手術しなければならない場合もあります。
 実際には、頸椎に変形などの所見がある場合(ある程度の年齢になれば皆あります)、それによるものと紛らわしい場合、また、両方が悪さをしている場合(ダブル・エントラップメント)もあり、頸椎のMRIなどの検討が必要になる場合もあります。
 早めの対処が望ましいと思います。

頸椎症・・・腰椎症との違い

 頸椎の椎間板ヘルニアと申し上げると怪訝な表情をされる患者さんもおられますが、椎間板ヘルニアといえば腰椎じゃないのか?という感じです。頸椎も腰椎も背骨に違いありませんから、変形性頚椎症もあれば、頸椎椎間板ヘルニアもあれば、頸部脊椎館狭窄症だってあります。脊椎の変形などの加齢性変化によってその中を通る神経が圧迫されるのですから、腰椎にみられるものはおおむね頸椎にもあるのです。極めて雑に言うと、腰が痛くなる代わりに首や肩が痛くなり、下肢が痛くなったり痺れたりする代わりに、上肢が痛くなったり痺れたりするだけの違いです。
 背骨の動きによって悪化するところも同じです。腰部脊椎管狭窄症では、自転車をこぐなどやや腰を前屈させると症状がでないと言いましたが、頸椎でもほとんどの場合、首を後屈させることによって悪化します。
 腰椎の場合に、1本の神経が圧迫されて神経痛・麻痺をきたすタイプ(外側型)と神経の束全体が圧迫されて下肢全体の症状があるタイプ(中心型)がありました。頸椎の場合にも、同様に1本の神経の神経痛・麻痺をきたすタイプ(髄節型・根症状型)と頸椎の中を通る神経全体が圧迫されて症状をきたすタイプ(脊髄症型)があります。
 さて、ここのあたりで少しし話が違ってきます。腰椎の場合ですと中心型の場合は、圧迫されているのは末梢神経の束です。これはある程度可塑性もあり、不便を感じている患者さん本人が我慢できさえすれば、こちらから手術をしろという筋合いのものではありません。我慢して我慢して、しかる後に手術しても手遅れになるということはありません(程度問題ですが)。しかし、頸椎の場合は、圧迫されているのは末梢神経の束ではなく頸髄という部位です。これは、延髄(必殺仕事人が針を打ち込む部位)の下に続く部位で、中枢神経、すなわち脳味噌の一部になります。脳卒中(脳梗塞や脳出血)後、半身麻痺が後遺症として残ることはよく知られていることと思います。中枢神経系は一度損傷されると回復が難しいとされています。 動揺に、頚椎症の場合でも、あまり我慢を重ねて、症状が進行し中枢神経である頸髄自体がひどく損傷されてしまってから手術をしても後遺症が残る場合があります。こういう場合には、患者さんの苦痛がさほどでなくても、医師の方から手術したほうがよいと積極的に薦める場合もあります。

頸椎症・・・腰椎症との違い

 頸椎の椎間板ヘルニアと申し上げると怪訝な表情をされる患者さんもおられますが、椎間板ヘルニアといえば腰椎じゃないのか?という感じです。頸椎も腰椎も背骨に違いありませんから、変形性頚椎症もあれば、頸椎椎間板ヘルニアもあれば、頸部脊椎館狭窄症だってあります。脊椎の変形などの加齢性変化によってその中を通る神経が圧迫されるのですから、腰椎にみられるものはおおむね頸椎にもあるのです。極めて雑に言うと、腰が痛くなる代わりに首や肩が痛くなり、下肢が痛くなったり痺れたりする代わりに、上肢が痛くなったり痺れたりするだけの違いです。
 背骨の動きによって悪化するところも同じです。腰部脊椎管狭窄症では、自転車をこぐなどやや腰を前屈させると症状がでないと言いましたが、頸椎でもほとんどの場合、首を後屈させることによって悪化します。
 腰椎の場合に、1本の神経が圧迫されて神経痛・麻痺をきたすタイプ(外側型)と神経の束全体が圧迫されて下肢全体の症状があるタイプ(中心型)がありました。頸椎の場合にも、同様に1本の神経の神経痛・麻痺をきたすタイプ(髄節型・根症状型)と頸椎の中を通る神経全体が圧迫されて症状をきたすタイプ(脊髄症型)があります。
 さて、ここのあたりで少しし話が違ってきます。腰椎の場合ですと中心型の場合は、圧迫されているのは末梢神経の束です。これはある程度可塑性もあり、不便を感じている患者さん本人が我慢できさえすれば、こちらから手術をしろという筋合いのものではありません。我慢して我慢して、しかる後に手術しても手遅れになるということはありません(程度問題ですが)。しかし、頸椎の場合は、圧迫されているのは末梢神経の束ではなく頸髄という部位です。これは、延髄(必殺仕事人が針を打ち込む部位)の下に続く部位で、中枢神経、すなわち脳味噌の一部になります。脳卒中(脳梗塞や脳出血)後、半身麻痺が後遺症として残ることはよく知られていることと思います。中枢神経系は一度損傷されると回復が難しいとされています。 動揺に、頚椎症の場合でも、あまり我慢を重ねて、症状が進行し中枢神経である頸髄自体がひどく損傷されてしまってから手術をしても後遺症が残る場合があります。こういう場合には、患者さんの苦痛がさほどでなくても、医師の方から手術したほうがよいと積極的に薦める場合もあります。

腰部脊椎管狭窄症

 腰椎のレベルで神経を取り囲む様々な組織(骨や靭帯や椎間板組織)の変化によって下肢に向かう神経が圧迫されて生じます。椎間板ヘルニアより知名度は落ちますが、少し前に、みのもんた氏が手術を受けられ、最近では、楽天の星野監督が手術を受けられたようで少しメジャーになったようです。
 歩いていると腰や脚が痺れたり痛んだりします、腰を下ろしてしばらく休憩するとまた歩けるようになるという間歇跛行が代表的な症状です、自転車だと休まなくてもこぎ続けられるというならほぼほぼ診断は決まりといってもいいでしょう。 治療としては、血管拡張剤や神経性疼痛治療薬の服用が、まず、一般的なところでしょう。症状が強いならば硬膜外ブロック等も有効です。もちろん、痛みが出るような行動を避けることは重要です。
 この病態では、椎間板ヘルニアのところでも書きましたように、腰を伸展させると症状は悪化しますので杖を突く、押し車を押して歩くなど少し腰を前傾させたような姿勢で歩くのがいいのですが、ご年配の方にアドヴァイスしても、「恰好悪いのでいや!」と拒否されまた、移動は自転車に乗りましょうと言うと、「危ないので自転車には乗らない」と言われてしまい(実際、危ないのですが)、現実的にはなかなかうまくいきません。腰椎のコルセットも過度の腰部の運動を抑制する意味では有効でしょう。
 さて、本病態で手術を考える場合には、以下の二つの要素を考えるのが良いと思います。椎間板ヘルアニの時には、創も小さく、背骨を削る必要もほとんどないため、長引くようならさっさと手術してしまうのがいいかもと書きましたが、本病態では、少し慎重になったほうがいい場合もあると思います。
 まず、一つは、腰椎にズレがあるかどうかです。これは「腰椎辷り症」のように一目、背骨同士が前後にずれている場合と、背骨を前屈後屈させた時のずれが大きい場合(不安定症)等があります。この場合には、骨や靭帯を切除して神経の圧迫をとると同時に腰椎の固定術を合わせて行わなければなりません。背骨と背骨の間に骨を移植し、当面、外れない様に、金属のプレートで背骨同士を固定するというものですから、手術時間も長くなり、創も大きくなり、また、神経を損傷する危険性もあり少し慎重になるほうがいいかもしれません。私の個人的な感覚では、手術する法としても、固定する場合は固定のない手術よりも3〜5倍ほどしんどいかなと思っています。もう一つは、症状が典型的な間歇跛行のように両側下肢に全体にでている(中心型な)のか、一つの神経の領域に限局してでている(外側型な)のかです。前者の場合は、手術の成績も大変よいので症状が強く薬があまり効かないのであれば、さっさと手術しまってもいいと思います。後者の場合は、神経の圧迫部位が明確であればいいのですが、中にはその同定が難しい場合や、除圧が困難な場合も多く、手術の成績は前者ほど芳しいものではありません。可能な限りは、保存的治療で粘るのもよいかなと思っています。

腰椎の圧迫骨折1・・・必ずレントゲンに写る?

 ある程度の年齢の方が、尻もちをつくなどの軽い外傷(時には全く外傷らしいエピソードのない場合もある)の後、結構ひどい腰痛が出た場合の話です。 すぐに、救急で病院を受診される方も多いです。そして、そこで骨には異常がありませんと言われ安静にしていたが一週間たっても少しも良くならないといって受診される、そこでもう一度レントゲンを撮ってみると腰椎や胸椎といった背骨に圧迫骨折が見られる例を数多く経験します。多くの場合、発症後1〜2週間もたてばはっきりしてくるのですが、時には、1〜2か月もたたないと明らかにならない例もあります。なかには、MRIを撮影してようやく診断されることもあります。確かに、注意深く見ると、椎体の圧迫骨折の場合には、背中の中心線上に並ぶ棘突起という骨の出っ張りを叩くと痛みが出てわかることも多いのですが、はっきりしない場合もあります。
 脚立から落ちたとかある程度の外傷であれば、多くの場合すぐにレントゲン検査で骨折が明らかになることが多いのですが、ある程度の年齢の方で骨粗鬆症を基礎として、前述のような軽微な外傷で生じる圧迫骨折の場合は、発症直後のレントゲンだけでは診断できないことが多いので、1週間も強い腰痛が続くようならレントゲンの再検査やMRIをとられるほうがいいでしょう。

腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊椎管狭窄症

 腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊椎管狭窄症は、腰・下肢痛みをきたす代表選手でしょう。椎間板ヘルニアは、一般的に知名度が高いようで、ほとんど坐骨神経と同一のように誤解を受けているように見受けられますが、必ずしも坐骨神経痛が出るとは限りません。腰部脊椎館狭窄は、あまり一般には知られていなかったのですが、ミノモンタ氏が手術を受けられてから(最近では楽天の星野監督でしょうか)、少し知名度が上がったようです。
 どちらも、腰椎部分で神経が圧迫・絞扼されて、腰や脚が痛んだり痺れたりする病気です。
 かなり大雑把に言ってしまえば(例外は多々ありますが)、比較的急性に、片側の下肢痛で、腰を前屈させるとその下肢痛が増悪するならヘルニア型が疑わしいし、逆に、両側性で腰を前屈させていると楽になり、腰をそらすような姿勢で下肢痛が悪化するならば、狭窄症型が疑わしいとしていいでしょう。
 しかし、特に、年配の方ですと、腰椎のMRIを撮影すると、たいていの場合ヘルニアもあり、狭窄症もありといった所見で必ずしもクリアカットに決めつけることができない例が多々あります。

腰椎椎間板ヘルニア

 坐骨神経痛の原因として一般的には、もっとも有名なものかもしれません。背骨(腰椎)と背骨の間にある椎間板という機構の内部にある髄核が周囲の隔壁を破って飛び出した状態です。これが腰の神経を圧迫して神経痛を起こします。力学的関係からか5個ある腰椎の下の方によく生じます。この場合には、坐骨神経痛(臀部〜大腿後面〜下腿〜足へ放散するような痛み)を生じるになるのですが、中間あたりのヘルニアでは太腿の外側、上の方に出るヘルニアでは、鼠径部や大腿全面に痛みが出ます。
 手術するかしないかは悩ましい場合もあります。
 絶対に、急いで手術しなければならない場合は、ヘルニアが巨大で通常のヘルニアの様に一本の神経にあたるのではなく腰椎を通る神経全部を圧迫し、排尿や排便に障害をきたしたり、下肢全体に麻痺が生じるような場合です。
 それ以外は、手術するかしないかはケースバイケースということです。 上記以外は命にかかわったり大きな障害がのこる病気ではないですから、患者さんの判断が優先されることになります。自営業で仕事を休めないという方で、神経麻痺があり足首が上に向かない状態で、手術を拒否され足首にバンドをまいて仕事を続けられた方もあります(仕事ができているわけですから問題ないといえば問題ないのです)。ただ、以前に比べて技術が非常に進歩しているため、典型的なものでは、背中を手指2本分ぐらいの幅切るぐらいで手術できるようになり入院期間も短くて済みますので、仕事や日常生活に支障をきたすような痛みや麻痺が1か月以上も続くようなら手術を考えたほうがいいかな・・・というのが個人的な印象です。また、仕事は休めるがその期間を短くしたいという場合でも手術のほうが有利でしょうか。
 ただ、典型的な例ではそうなのですが、下肢痛には心因性の場合も少なからずみられます。 下肢痛がありMRIで小さなヘルニアがあり、強い痛みがあるというだけで安易に手術すると改善しなかったり、かえって悪化する場合さえあります。とても痛い場合でも、医師がMRIをみて少し首をかしげているようなら、あまり強く手術をしてくださいと迫らないほうがいいでしょう。
 また、腰椎椎間板ヘルニアの場合、術後一年での同一部位再手術例は5%、10年では10%という報告もあります(私の個人的な経験では3回同一部位に再発した例はありません)。
 激しい運動はともかく、日常生活が一応おこなえて、家事や仕事も休まずにできているなら保存的治療。 とにかく早くケリをつけたい、仕事を休まなければならないような状態が1〜2か月も続くようなら手術を考慮されたほうがいいでしょう。また、中位〜上位にあるヘルニアはたいていは手術しなくても済むというのが個人的な印象です。

脚が痛ければ、みんな坐骨神経痛?

よく患者さんから尋ねられます。

 「右脚が痛いのですが坐骨神経痛でしょうか?」
 「どの辺が痛みますか?」
 「太腿の前が痛みます」
 「では、おそらくは坐骨神経痛ではないでしょう」
 「何故ですか?」

 答えは明快です。坐骨神経は太腿の前面にはきていないからです。坐骨神経は人間の末梢神経の中で最も太い神経であり、また、坐骨神経痛は数ある神経痛の中で最も有名なものではないでしょうか。 とても有名なので、脚が痛くなればみんな坐骨神経痛と誤解されていることも多いようです。この神経は、主に下部腰椎と上部仙椎からでてくる4本ほどの神経が合流して太い一本の神経となってお尻の所から出て、太腿の後ろ側を通って下腿に向かいます。ですので、痛みを感じるのもその部分になります。脚が痛ければみんな坐骨神経痛というわけではありません。
 坐骨神経痛の原因となる病気として一般的には、

   @ 腰椎疾患(下位椎間板ヘルニア等)
   A 梨状筋症候群(臀部の筋肉による坐骨神経の圧迫)
   B 非器質的疾患(心因性、意外に多い)

があります。

変形性膝関節症って?

 実年以降では非常によくある病気で、国内では1000万人以上と推計されています。膝関節の軟骨がすり減った状態です。多くは、体重過多と加齢が主因のようですが、若い頃の外傷や脊髄や脳の損傷で半身筋力低下が原因となることもあります。立ちあがる時や階段昇降などに膝の痛みを生じたり、進んでくると普通に歩く時にも痛むようになります。生活が非常に不便になれば手術が必要になります。 たとえば、体重が増え、コレステロールや血糖が上昇し、医者から歩けと言われ、急にはりきってウオーキングを始めたりしたときなどによく発症します。
 保存的治療・進行防止としては、

  1. 減量:なんといっても体重を落とすことでしょう。たまたま、他の病気で、不幸にして体重が減ってしまったりすると、気が付くと膝痛がましになっているというのはよくある話です。
  2. 下肢筋力強化:太腿周囲の筋力をつけることはとても大切です。早合点して、いきなりランニングしたり、スクワットなどやるとかえって悪化します。膝に荷重(体重)をかけないようにしトレーニングしなければなりません。かなり体重の多いご高齢の方方では、プールでの歩行などは効果があるようです。当院では、リハビリ室に、四頭筋訓練装置をおいて頑張っていただいています。筋力が数値で示されるので、本人の意欲が高まって効果があるようです。
  3. 高分子ヒアルロン酸注入:20年ほど前から普及し始めた方法です。変形性膝関節症では関節内のヒアルロン酸が減少していますので、これを補充することで軟骨を保護し、進行を抑える効果があります。また、関節の炎症を抑える効果もあるようで、比較的効果のでるのが早い治療です。急性期は週一回、慢性期には2〜4週間に一度程度で維持します。約8割ぐらいの方に効果があります。
  4. 装具治療: 変形が比較的軽度で、立ち仕事やウオーキングといった立ち動作が多い方で、O脚気味の方には足底につける装具(靴の中敷きタイプもある)をお薦めしています。膝関節への荷重のかかり方を変えることが目的です。また、かなり進行した方で、年齢や合併症によって手術に危険を伴うような方には、膝装具を処方しています。
  5. グルコサミン???:飲むクルコサミンですが、よほど偏食が強く食が細くて痩せ細った方以外には薦めていません! 患者さんの自由意思にお任せしています。個人的には、これほど多くの患者さんがいる病気でそれほど確実に効果があるものなら、なぜ数多くある世界各国の大手製薬会社が医薬品として採用しないのだろう?っていう気はしています。

膝の水を抜くとクセになる?

 変形性膝関節症等では、しばしば、膝に駅が貯留します。いわゆる、「膝に水がたまった」状態です。 この膝の水を抜くとクセになるので抜いてはいけないという方がいます。本当でしょうか? 私は、寡聞にして、医師でこのような意見をお持ちの方にであったことはありません。
 一般的には、膝に水が溜まって膨れている状態が続くと、膝関節を取り囲む周囲の組織が伸びてしまう。そうなれば、膝の固定が甘くなり不安定となる、そうなれば、膝関節の変形はさらに増悪すると考えられています。
 また、急性の炎症で膝関節に液が溜まり脹れている状態であっても、ドレーナージ(排液)は外科の基本的中の基本の考え方ですから、やはり抜くべきでしょう。
 少なくとも、水を抜くことによって、クセにあるということはありません。

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脳・神経疾患

片頭痛・群発頭痛の注射薬

 片頭痛と群発頭痛は、強い痛みを生ずる厳しい頭痛の双璧でしょう。昔は、カフェインやエルゴタミン製剤などで対象治療を行っていましたが、その効果は満足できるものではありませんでした(早い話があまり効かなかった)。13年ほど前にトリプタン製剤の錠剤(イミグランR)が発売され、格段に頭痛の抑制ができるようになりました。とはいっても、口から飲む錠剤ですから、飲んでから効果が出るまで40分以上はかかります。典型的な片頭痛の様に、頭痛の起こる前に閃輝暗点などの前駆症状が出る方ならばいいのですが、前兆なくいきなり出る方の場合ですと、どうしても頭痛を抑えることが困難な場合もあります。
 錠剤発売の少し後に、トリプタン製剤の点鼻薬が発売されました。これは口から飲むより吸収が早くなるので効果発現が早くなってよいと大いに期待したのですが、少なくとも私の個人的な経験では、患者さん方の評判は芳しいものではありませんでした。おそらくのところ、点鼻したものがそのまま全て鼻粘膜から吸収されればいいのでしょうが、どうも咽喉の方に垂れ落ちてしまってうまくいかないような印象です。また、トリプタン製剤の口腔内崩壊錠(口の中で溶けるので水無しで服用できる)も、吸収される経路は錠剤と変わらないので効果の発現までの時間も変わりありません。
 また、片頭痛に対しては、そこそこの効果を発揮するトリプタン経口製剤ですが、群発頭痛、特に男性の群発頭痛に対しての効果は芳しいものではありませんでした。この頭痛は、本当に苦しい頭痛の様で、様々な薬もトリプタン製剤とともに出してみるのですが、全くと言っていいほど歯が立ちませんでした。
 トリプタン製剤の注射薬は、実は、経口製剤より1年ほど早く発売されていました。そして、この薬を皮下注射は、経口よりも圧倒的に即効性で効果も格段によいものでした。この注射ならば、片頭痛でも群発頭痛でも効果を発揮します。ただ、残念ながら、注射ですから病院まで来てもらわねばならないのでした。群発頭痛は、ほとんどの場合、一日の決まった時間に毎日のように起こります。お近くの方で、朝お昼に起こるのならば、まだよいのですが、夜中に激痛で目を覚ます方も多々おられるのです。
 そんな中、5〜6年前に、トリプタンの注射薬が自己注射が発売されました。これによって、患者さんが自宅で、自分で注射できるようになり、ようやく群発頭痛にもなんとか効果のある治療が可能となったように思います。
 大変興味深いことには、この自己注射を希望される方は、ほとんどが男性の群発頭痛の方だということです。通常の片頭痛の方ですと、男女を問わず、ほとんどの方が経口トリプタン製剤を希望されます(誰だって自分で注射するのは気が進まないでしょう)。また、群発頭痛的であっても、女性の方は比較的、経口製剤でも効果があるようで多くの場合、注射を選択されません。 

認知症の治療薬T(中核症状の治療薬)

 本邦における信頼のできる複数の調査で、65歳以上の認知症の有病率は10%以上と報告されています(すなわち10人に一人以上は認知症)。 現在、国内に約250万人程度と推計されている認知症患者数は、今後の20年間でさらに増加し400万人に達する以上になるという恐ろしい予想も出されています。認知所の予防に関しては、あれがよいこれがよいと様々な報告が出ていますが、現時点で確実に有効な(科学的に検証されたデータ)はないというのが現状です。 これらに関しては、もう少し詳しく書いたものがありますのでご参照ください。
(→ http://eonet.jp/health/doctor/column27_1.html)
 つい数年前までは、アルツハイマー病の中核症状(認知障害)に対する薬は、ドネペジル一剤だけだったので、何も考えることはなかったのですが。現在では、ドネペジルと同様の作用機序を持つコリンエステラーゼ阻害剤として別に二剤(一つは張り薬ともう一つは飲み薬)、全く作用機序の異なるNMDA拮抗阻害薬が一剤。二種類四剤の薬ができ多少、使い分けを考えるようになりました。
 コリンエステラーゼ阻害剤は、ドネペジルを使いだしてからもう十数年になりますが、個人的には、2割ぐらいが大変有効(明らかな効果がある)、7割弱ぐらいは有効(やめてみると症状が悪化する)、1割強ぐらいは、明らかな効果がないという様な印象です(文献的にもこの辺が相場)。この種類の三剤はどれも同等の効果ということになっていますが、食欲低下・気分不良といった副作用の発現に関しては、張り薬が増量していく期間が長いためか、吸収が遅いせいか一番少ないような印象です。ただ、張り薬には、痒み、皮膚炎という局所症状が必発で文字通り痛し痒しです。しかし、この種類の薬の最大の問題は、人によっては、攻撃的になったり、イライラしたり、徘徊がでたりすることでしょう。ですから、大人しめの方だといいのですが、最初からBPSD(認知症に伴う精神症状や問題行動)が前景に出ている方には、最初にこの種類の薬を使用するのはやめた方が無難でしょう。
 NMDA拮抗阻害薬の一種類は、こういった問題行動に対して有効と言われており、個人的にもそういう印象を持っています。しかし、中には、この薬で興奮される方もあります。
 患者さんの基礎疾患(心臓・腎臓・肝臓などの障害)・認知障害の症状に合わせていろいろ試行錯誤をしながら合わせていっているのが現状です。

認知症の治療薬U(周辺症状の治療薬)

 アルツハイマー病の症状は中核症状(認知障害)と周辺症状(精神症状・問題行動)分けられます。中核症状に対する薬は、先に書いたとおり二種類四剤があります。一方、周辺症状に対しては、症状によって種々の薬を使います。 私は、中核症状に対する投薬を「患者さんのための」治療、周辺症状に対する治療を「家族のための」治療(結果として患者さんのための治療)というように説明しています。 中核症状に対する薬は、文字通り認知機能を改善するための薬ですが、周辺症状の治療は、認知機能を改善させるのではなく問題行動を抑制し、家族の方と家でともにすごせるようにするための薬だからです。現時点で、アルツハイマー病その他の認知症は根治できる疾患ではないので、最終的には施設介護になることが多いのです。したがって、認知症の治療の目標は、より長く自宅で家族とともに生活できる期間を延長することにあります。徘徊や不潔行為、妄想、暴力行為などの周辺症状が強いと、家族や介護者が疲弊し、家での介護が困難となり結果として施設介護に移行せざるをえません。したがって、家族の苦労を軽減させる(家族のため)の治療ではあっても自分の家での療養期間を長くすることができ結果的には患者差のための治療にもなります。
 周辺症状は、落ち込んで動かなくなる、食べなくなるといった陰性症状と落ち着かない、攻撃的、徘徊といった陽性症状まで多彩な症状がありますので、様々な薬を使い分けることになります。中核症状は、まあ、誰がやっても使う薬は似たり寄ったりですが、周辺症状の方は選択肢が多い分だけ腕の見せ所という感じがします。
 多くの場合、こういった周辺症状を抑制する薬には、ふらつきや、身体が動きにくくなる(パーキンソン症候群)といった副作用もあります。また、御高齢や脳の委縮が進行している方では、特にそういった好ましからざる症状が出やすいように思います。ごく少量で少しずつ調整していくことになります。認知機能そのものを改善すること委は困難ですが、こういう周辺症状が軽減し、患者さんの表情が明るく穏やかになり、介護する家族にも笑顔が出るのは、治療する側としても喜ばしいことです。

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生活習慣病

睡眠時無呼吸症候群と治療抵抗性高血圧

 3種類ほど血圧を下げる薬を飲んでいるのに血圧が目標値まで十分に下がらない・・・ような場合は、治療抵抗性高血圧などと呼ばれています。もちろん、生活習慣に極端な問題がある場合や、体内の水分調節や血圧に関与するホルモンなどの異常もありますが、意外に多いのが睡眠時無呼吸症候群が隠れている場合です。肥満などがあればいかにもという感じですが、下顎が小さい(短い)方、口を開けて除いたとき咽喉ちんこが低い位置にあって見えないような形態的要因がある場合には、必ずしも肥満はともないません。特に、早朝の血圧が高いタイプの方などでは一度は疑ってみてもいいでしょう。家族の人に寝ている状態をみてもらって、いびきが大きいとか息が止まっている状態がしばらく続くとかいうのであればさらに疑いは濃厚です。今では、簡易検査として、家に検査キットが送られてきてそれを2日ほどつけて寝ますと、機械の中にデータが残りますので、それを送り返してもらうだけで診断できるようになっています。

高血圧と認知症

 高血圧が、アルツハイマー型認知症の危険因子の一つであることはよく知られた事実です。といっても、高々、1.5倍程度の危険率比にすぎませんが。 頭の中の血管は、高血圧に弱く、高血圧が続けば頭の中の血管の動脈硬化によって隠れ脳梗塞が増えていって、当然、脳の働きが低下するので、それが加算されて認知機能も悪化するのは当り前ではないか!と言われるかもしれません。 ただ、そういった単純なメカニズムにくわえて、記憶をつかさどる海馬のCA1セクタという領域が、他の神経細胞にくらべて特に虚血に弱いこと。 さらに、最近の基礎研究では、脳虚血によって生じる物質がBACEを増加させAβ(アルツハイマー病の起因物質)を増加させること、また、Aβ自体が脳血管の自動調節能を障害するという独自のメカニズムも知られるようになってきたのです。ただ、もうはや高齢になった段階で、過度に血圧を下げてしまうのはむしろ認知症を悪化させるので要注意です。あくまで降圧は中年期の若いうちからやっておかねばなりません。
 また、最近、血圧を下げる薬(降圧剤)の種類によって認知症の進行に差が出る可能性があるのではないかという基礎研究の報告もあります。たとえば、ACE阻害剤という種類の降圧剤では、ACEがAβを分解する作用まで阻害され、結果的にはAβを増加させること、また、神経に保護的に働く作用のあるAT2という受容体も阻害してしまうので認知症を悪化させるかのうせいがあるという報告が出てきています。  まあ、実際の臨床の場で降圧剤を変えたところで認知機能に明確な差が出るという気は全くしませんが、家の先ほどでも有利になるなら・・・、という気で降圧剤の選択をしています。

急性糖尿病―ペットボトル症候群と饂飩寿司症候群?

 夏の暑い時期、咽喉が乾くので水分をとる。それは、たいへん良いのですが、この水分を缶コーヒーやジュース等、甘みすなわち糖分を含む飲み物でとった場合は要注意です。糖尿病予備軍の方、あるいは少し年齢を召された方では、急に血糖があがってしまって、糖尿病になってしまうことがあります。これは、ペットボトル症候群と名前が付けられているほど有名な(=よく遭遇する)病態です。 さて、私は、もう一つ、饂飩寿司症候群というのもあるのかなと思っています。たいていは往診先の(つまりは、ほとんど活発に自分で動き回ることのできない)高齢の方なのですが、当然ながら、暴飲暴食をするわけでもなく、ジュースをたくさん飲んでいるわけでもありませんが、徐々に、血糖が上がってくる方をちらほら見かけます。 こういう場合、よく聞いてみるとお寿司が好きで、お昼ご飯は、饂飩などの麺類に、チラシ寿司や巻き寿司、稲荷寿司などのお寿司をセットでよく(たとえば週に2回以上)召し上がられていることが多いのです。 確かに、炭水化物同士の組合わせですし、元来運動量の少ない高齢の方だと血統が上がるのも当然でしょうか。この場合、このセットを週に1回以下かセットにせずに片方だけにするとたいていは元に戻るようです。このセットが好きな方で、運動量の少ない方は少しご注意ください。

ステーキか大トロか?―究極の選択

 糖尿病で厳格な食事制限を強いられていると、やはり、にわかに何かがっつりと食べたくなるようです。当然と言えば当然でしょう。この時、ビーフステーキか大トロのお鮨か迷われる方も多いようです。そういう方の多くは、お鮨の方がヘルシーだろうと考えてこちらを選択されるようですが、結果はあまり芳しくありません(次回の検査で糖尿病の指標数値が悪化しています)。こういう方の場合、ステーキを選択したほうが数値は改善します。 詳しい機序はわかりませんが、経験的にはほぼ100%です。 おそらく、酢飯(米+砂糖)がよくないのだと思います。 魚好きで、善玉脂質の多いマグロを捨てきれない方は、鮨をやめてお刺身で食べるのが正解かもしれません。

メタボリックシンドロームについて

 特定検診(メタボ)検診も大分定着してきたようです。それでも多くの受診者の皆さまは、あまり、メタボのことを御理解していただいていないようなので、簡単に書いておきます。メタボというのは、単に肥満で血圧や血糖が上がったりしているのではありません。別名「内臓脂肪症候群」とよばれているとおり、内臓脂肪の蓄積が様々な悪影響を及ぼしている病態です。この際、皮下脂肪は悪者ではありません。あくまで内臓脂肪が問題となります。内臓脂肪がお臍のレベルでのCTスキャンで100cm2を超えると様々な悪影響がでてくるとされています。メタボ検診ではCTはとれませんので腹囲を測定します。したがって、体重は正常であっても、腹囲が大きければ(男性≧85cm、女性≧90cm)引っかかってしまいます。おなかだけがポッコリでているような体形はリンゴ型肥満(男性型肥満)といわれます。
 さて、同じ脂肪でも皮下脂肪ではみられないのですが、おなかの中に溜まりますと、様々な物質を分泌します。これはアデポサイトカインよばれ、TNFαのように血糖を上げるもの、遊離脂肪酸のように高脂血症をきたすもの、アンギオテンシノーゲンのように血圧を上げるもの、PAIのように血管の中で血液が固まってしまいやすくなるもの、また、その一方でアデポネクチンと呼ばれる善玉のサイトカインの分泌は減ってしまいます。これらが総合して、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を高率に引き起こすこととなります。
 一昔前まで、脂肪組織は、単なる余分なエネルギーの貯蔵庫と考えられていましたが、今では、こういうサイトカインを分泌する内分泌器官と考えられるようになりました。
 皆さまの御自宅には、市のほうからメタボ検診を受けるように促す通知が届いていると思います。これは、厚生省の方針によって、特定検診の受診率が低い保険者(市)には財政的な罰則があたえられることになっているからです。これは、すなわち、皆さまの健康保険の掛け金が上がることにもつながりかねませんね。面倒かもしれませんが、特定検診は受けられたほうが、そういう点からもよいでしょう。

家庭での血圧測定
「降圧剤を服用しているし別に症状がないから血圧を測らなくっても大丈夫」?

 降圧剤を服用されている方に、家での血圧をたずねると、「別に、めまいもふらつきもないので、測っていません」とよく言われます。 降圧剤は飲むことに意義があるのではなく、目標とする血圧の値を維持することに意義があるのです。 もし、血圧が高いせいでめまいやふらつきが出ているのならば、その血圧の値はかなりの高値であり、そんな状態であれば申し訳ありませんが、脳卒中や心筋梗塞の合併症は目前、そう先のことではありません。 長い目で見て、合併症予防のために目標としているのはあくまで至適当な血圧の数値であり、そのレベルでは、まず、血圧が高いことによる症状などありません。ですから、診察に来た時に、月に一回ぐらい測っているだけでは不十分なのです。毎日でなくてもかまいませんが、家でも血圧を測ってみられることです。
 また、血圧の測定はできれば、朝と夕の2回程度は測られるほうがいいでしょう。人によっては、朝のほうが高い人、夕のほうが高い人、酒を飲むと極端に血圧が下がる人、休みの日には血圧が下がる人、また、日曜日の夜(休日明けの仕事に行く前)に血圧が上がる人など様々であり、それによって服用のしかたを変えたりすることもあります。また、診察室での血圧の方が高い人が一般的ですが、家での血圧の方が高い方もおられます。
 家で血圧を測られるなら、是非、手首で測るものではなく、上腕(肘の上)で測る機械をご用意ください。高血圧学会でも、指標とするのは上腕式の機械としています。2回はかって平均を記録するというのが推奨されています。

「血圧の薬を飲み始めたら死ぬまで飲み続けなければならなくなる」?

 血圧が高いと言いますと、表題のような御質問をよく受けます。いかがでしょうか?
 まず、血圧の薬を飲む目的は、血圧を下げることです。これは言うまでもないでしょう。
 何故、血圧を下げなければならないのでしょうか? それは、血圧が高い状態が続くと、血管の壁が厚くなり血液の通るスペースが狭くなったり詰まってしまったりするからです。頭の血管が詰まれば脳梗塞・心臓の血管(冠動脈)が詰まれば心筋梗塞(狭心症)ということになります。これらの病気は発症してしまうと、即、生命を落としたり、かなり高度な生活機能の障害をきたします。
 こういう合併症を避けるために血圧を一定のレベルまでさげるわけです。ですから、降圧剤の服用を始めたら、規則的に飲み続けて適切な血圧値を維持することが必要です。症状の有無はありません。本態性高血圧と呼ばれる、家系的に血圧が高い人の場合は、一生飲み続けなければならないかもしれません。しかし、ストレス過多や肥満や運動不足、塩分の取りすぎなど生活習慣に問題がある場合には、そういう原因が改善されると、勝手に血圧が下がってくる方も多くおられます。この場合、徐々に薬の強さを減らしていき、最終的には中止できることも多々あります。
 また、降圧剤を飲むと「クセになってやめられなくなる」ということは、一切ありません。むしろ、降圧剤を服用しないで、いると身体なかの血管の壁は、単なるゴムホースではなく生きている組織ですから、血管へ癖が炎症を起こしてどんどん固く厚くなってしまう(リモデリング)ので、動脈硬化は進行し、より血圧は上がっていくことになります。

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その他の病気

巻き爪と深爪

 巻き爪の方は数多くおられるようです。実のところ私自身もその傾向があり日ごろから注意しています。最近では、偏平足・外反母趾を伴った方が多いような印象を持っています。外反母趾の結果、拇趾の外側の爪の角が第二趾に当たった形になって、爪の角が周囲の皮膚組織(爪廓)に食い込んだ形になって赤く炎症を起こしているのです。初期の段階でそのまま来院していただければ、弾性ワイヤーを使った治療や、爪の下に綿を軽く詰める程度の極簡単な処置で済みますが、多くの場合、来られる方は、ご自分で(時には病院で)当たって痛い爪の角を斜めに切ってこられるのです。
 確かに、周囲の皮膚(爪廓)に当たっている部分の爪を切れば、その時は痛みが取れてよくなるのですが・・・、残念ながら、その後、周囲の爪廓が切られた爪のスペースまで進入してきます(切った爪が伸びてくるスペースを塞ぐ形になる)。爪は切っても伸びるものですから、今度は、最初に当たった場所よりもさらに爪の付け根に近い場所で炎症を起こします。ここで切ると、また同じことが起こりどんどんと事態は悪化していきます。
 この形では、絶対にご自身で、当たって痛い部分の爪を切らずにおくことです。第二拇と当たっているなら、拇趾と第二趾の間にガーゼか何かを挟んで趾同士がくっつかないようにし、ゆったりとした風通しの良いサンダルなどの履物に変えてみることでしょう。必要なら数日、抗生物質や消炎鎮痛剤を飲めばまず症状は改善します。そのうえで、弾性ワイヤーをするなりなんなりと巻き爪自体の処置に移るのがよいでしょう。
 繰り返しますが、間違っても当たっている爪の角を切るという、とりあえず的な処置は避けてください。

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一般的なお話

副作用のない薬ありますか?

 答え、絶対にありません。 効果すなわち作用があるなら、必ず、副作用もあります。副作用のない薬とは、すなわち、毒にも薬にもならない無用の長物ということになります。
 例えば、薬疹などは、まず、どんな薬でも可能性がありましょう。ひどい場合には、入院が必要になったり命にかかわったりする場合もあります。ただし、確率の問題であって、ある程度、高率にでる副作用の場合は、まず処方する段階で、「ふらつく」だとか「薬疹が普通の薬よりは効率に出るから、もし体がかゆくなったり、発疹が出たらすぐに来てください」だとかは、説明するようにはしています。そうでない場合は、副作用の可能性はかなり低いと考えていただいていいかと思います。この場合、「副作用のない薬はないのだけれども、その可能性は極めて低いしさほど重篤なものではないと予想されるので、今の病気はひどいしほうっておくとよくないから、薬を服用したほうがあなたにとっては有利だと判断したのでこの薬をだしておきます」ということです。
 それでも、副作用のない薬はないのですから、やはり新しい薬を服用する場合などは、すこし注意されるのは必要でしょう。特に、心身の調子が悪い(弱っているような)場合(薬を飲むのだから体調がいいわけないのだろうけども)には、通常ではでないような副作用もでてしまうことがあります。
 また、できるだけ薬を処方してもらう薬局は一つにしておくほうがよいでしょう。薬によっては飲み合わせが悪い場合もありますので、一つにしておけば、そのチェックをしてもらえますので。
 薬の副作用なんて気にせずに、何でも薬・薬と薬大好きな人も困りますが、過度に副作用をおそれて、つらい症状を我慢するというのも不便です。
 また薬局で渡される薬剤の説明書には、その薬のもっともよく使用されている効能しか書いていない場合も多いので、自分の症状と違うからといって服薬されない場合もあります、例えば、「手が震える」のに「血圧の薬」がでたとか、「神経痛」なのに、「不整脈の薬」や「てんかんの薬」が出ているなどです。薬には、効能がいくつかあるものもありますので、すべて薬局の説明書に書かれてはいません。 医師とよく相談し、服用の目的とをよく理解したうえで、適切な内服をされるのが良いと思います。

漢方薬について・・・効くまで時間がかかる? 効果が緩い? 副作用がない?

 答えは、ノーです。小生は、結構、漢方薬を使うほうだと思っていますが、小生のような外科系で気の短い者が、効果が出るまで二年も三年もかかるような薬を使うわけがありません。効くから使うのです。もちろん、いくつか使い方がありますので、効果が緩いが副作用の軽さを期待して使う場合もありますが、すべてがそうではありませんが、極めて即効性で、効果の強いものもあります。
 即効性協力の代表は、芍薬甘草湯でしょう、こむら返りの薬としてかなり有名になっています。葛根湯(やぶ医者の代名詞のようですが)は、風邪のひき始め、ぞくっと寒気が来た段階で、服用すればよく聞きます。抑肝散は、NHKで取り上げられてから認知度が急激にupしましたが、確かに、妄想や認知症の問題行動に一定の効果があります(ただし、効果が強くはない、そのかわり副作用が少ない)。一般に、便秘や腸を動かす漢方薬は、効果が強いようです。大建中湯等、多くの消化器外科で、麻痺性イレウス対策に用いられています。下剤である桃核承気桃などは合う人だと、一日に2〜3回トイレに行くのだけれども非常にすっきりして気分がいい、イライラしなくなったといわれる方もあります(便秘以外に対する効果も期待して使っているわけです)。いずれも、即効強力型です。
 一方、通常の薬が副作用で飲みづらい人に、体調の改善を待つ間に副作用の少なさを期待して使う場合もあります。半夏厚朴湯、六君子湯、香蘇散などでしょうか。
 一般に冷えは体が冷えると悪化しますので、冷えて痛むという訴えが強い人の場合には、体を温める作用のある漢方を加える場合もあります。生理に伴う頭痛に、当帰芍薬散が非常に効果を発揮することもあります。
 上述のように、ある症状に対して処方する場合もあれば、非常に訴えの数が多い人、これといった強い症状がないが、なんとなく体調がすぐれないような場合には、子供さんなどには、症状にかかわらず「証」によって処方する場合もあります。 証」というのは、漢方薬を処方するための漢方独特の身体所見で、「舌」や「腹」、「脈」などの特徴で判断します。したがって、「証」が一致すれば、症状が何であっても効くということです。こういう薬の場合、「何に効くんですか?」と尋ねられますが、「あなたの身体の不調全体の調節に効く」というより答えようがありません。
 さて、効くのですから、当然、副作用もあります。漢方薬だから副作用がないというのは全く誤解であります。即効強力型の代表選手、芍薬甘草湯は、例えば一日3袋を、続けて飲めば、かなり効率にむくみをきたす方が多いようです。一日1袋ではまず問題はありません。 地黄系の漢方薬(牛車腎気丸、八味地黄丸等)の消化器症状の副作用は有名です。

今シーズンのインフルエンザ

 今年もようやく暖かくなって春という感じがしてきましたが、いまだにインフルエンザがポツポツとやってきます。昨年ぐらいからの印象なのですが、少し前まで、インフルエンザというと、普通の風邪とはことなり、かなりの発熱と身体の節々の痛さ、いかにもしんどそうな感じがしていたのですが、昨年あたりから、普通の鼻風邪や喉風邪といった様子で受診される方が多いのです。まあ、違うと思うけど念のためにやっときましょうかというぐらいの感じで、簡易検査をしてみますと、見事にインフルエンザ陽性にでることがしばしばです。軽い風邪かなと思ってもとりあえず調べといた方がいいかもしれません。

手術できる?or手術しなければならない?

 同じ現実でも全く異なったふうに認識できるようです。美味しいお酒を楽しんで瓶の半分飲んでしまった時に、瓶に残っている酒を見て、「もう半分しか残っていない」と思うか、「まだ半分も残っている」と思うかという話はよく知られています。手術についても同じような話ができます。 「手術しなければならない」と考えるか、「手術ができる」と考えるかです。
 基本的に手術できるという場合は、ある意味幸運なことなのです。極端な話をすれば、癌の場合、進行癌であちこちに転移しているような方ですと、「手術はできないので、抗癌剤や放射線治療を行う」と言うのは、手術で全部とれないので治る可能性はないということを意味します。一方「手術できる」というのは、「手術をすれば治る可能性がある」ということを意味しています。 癌のような極端な話でなくても、御高齢の方で、腰の骨がひどく歪んであちこちの神経を圧迫して、坐骨神経痛や腰痛が出ている場合はどうでしょう。 坐骨神経痛で亡くなることはないでしょうが、御高齢の方を全身麻酔で手術すれば、心不全や肺炎やその他の合併症でなくなる可能性は否定できません。外科の先生は、「手術はできません」と言うことになるでしょう。逆に、腰の「手術できますよ」と勧められるのは、その患者さんにまだ体力があって心臓や肺も健康で、手術をして治せる可能性が高いと言われているのですから喜ばしいことです。
 一方、「しなければならない」手術などこの世に存在しないと思っています。たとえ、癌であって、「今手術すれば命は100%助かるが、手術しなければ2年持たない」と言われたとしても、患者さんがその意味をよく理解したうえで、御自身の信念・判断で手術を拒否されるなら、それは尊重されるべきだと思います。
 できれば切らずに済ませたいのが人情ですし、手術にはどうしてもギャンブル的要素委を消すことができません。手術は、幸いにも「できる」(比較的安全でよくなる確率の高い)手術と、残念ながら「できない」(危険でよくなる確率の低い)かです。 大切なのは、手術の危険性と手術によって得られる改善の可能性とをよく聞いて理解したうえで、「なければならない」でなく「できるのだ」という御自身の積極的な意思によって決めることだと思います。

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